第5回 アニメーションがすごい国?
レイノー先生、アニメーションがすごい国ってどこ?
やっぱりクールなジャパン?
日本も産業面では長年世界のトップを走ってきたけど、インディペンデントのアニメーションでは、そうでもないよ。
日本語で「独立の」っていう意味だけど、主に小さなスタジオや個人作家の作品のこと。オープラクシノスコープで売っているDVDは、ほとんどインディペンデント系のアニメーションだよ。
まず、独立系のスタジオが多いのは、イギリスやフランス。
この羊のマークのブリッティッシュ・アニメーション・アワード、通称BAAでは、毎年イギリスの短編アニメーションのなかからベストな作品が選ばれて、DVDにもなっているんだ。Baaは英語で羊の鳴き声。だから羊がトレードマーク。
ちょっと昔の話をすると、産業に頼らず国営のスタジオで作られたものが、良質で面白いものが多かったんだ。50年代から70年代に、社会主義や共産主義だった国々、チェコやハンガリー、中国、ロシアやエストニアとか…
そうだね。ロシアで当時作られた『チェブラーシカ』や、『きりのなかのはりねずみ』のユーリ・ノルシュテイン監督が日本でも人気だね。あと共産国じゃないけど、カナダは戦前から現在まで、短編のアニメーションに力をいれているんだよ。
お、知ってるね。ノーマン・マクラレンは、イギリス人。スコットランドからカナダに渡ったんだよ。NFBでいろいろな実験映画を作って、世界中のアーティストに影響を与えているんだ。
切り紙を使ったり、パステルで描いたり消したりしながらアニメーションを作ったり、人間をコマ撮りしたり、映像を多重露光したりと、様々なテクニックをつかったんだ。あと、カメラを使わず映画のフィルムに直接絵を描いたり、サウンドトラックという音のでる部分に絵を描いて映画の音を作ったり、なんていうのもある。
マクラレンがいたのがカナダ国立映画制作庁、通称NFBだよ。
このマークだよね。これって目?
これは人が頭の上で手を組んでいて、頭が目のように見える目玉人間、かな?
カナダは多国籍だから、ビジュアルコミュニケーションを重視した、視覚芸術の可能性を表しているんだ。だから言葉を使わなかったり、抽象的なアニメーションが多いんだ。
NFBのDVD、たくさんあるけど、どれがお勧めですか?
ここで原画展もあったジョルジュ・シュヴィツゲベルは人気です。シュヴィツゲベルさんもマクラレンの影響でアニメーションを作り始めたスイスの作家さんです。他には、砂や油絵で一コマづつ描きながら作るアニメーションを開拓したキャロライン・リーフもお勧めです。
へー、面白そう。
レイノー先生、アニメーションがすごい国、他にも教えてよ…