第6回 エストニア、カイゼル髯
レイノー先生こんにちは。この間の続き、アニメーションのすごい国、他にも教えてー。
いいよ。前に社会主義だった国のアニメーションが面白いって話をしたけど、その中でもソ連から独立したエストニは、とても個性的な作家がそろっていて、要注目だよ。
エストニアって、そういえば把瑠都(バルト)ってお相撲さんがいたよね。
そう、バルト海、把瑠都。エストニアでは日本のお相撲も人気なんだよね。
…それは置いといて、エストニアのアニメーションといえばこの人、プリート・パルン。植物学を学び、風刺画家として活躍したあと、70年代後半から現在まで精力的にアニメーションを制作しているんだ。
うん、画家としても活躍している。でもパルンや他のエストニアのアニメーションって、映画祭で上映されるとみんな頭のなかが「???」ってなっちゃうのが多いんだよね。
でも難解といっても、ユーモラスで奇妙でカッコよくって、とっても興味深い作品だよ。
そうだね。超越した感覚が、他のどこの国のアニメーションにも似ていない。
エストニアには、平面アニメーションのヨーニスフィルムと、立体のアニメーションを制作しているヌクフィルム、2つのスタジオがあって、両方で制作している監督もいる。「ヌク」というのはエストニア語で「人形」っていう意味なんだ。
ヌクスタジオも奇妙な味わいで独特なスタイルの作品が多いよ。子供向けの楽しい作品も結構あるけど、どれもちょっと変。
….うん。(汗)
マッティ・キュットは、夢のなかの世界を描いているような個性の強い作家でお勧めだよ。立派なくるんと巻いたカイゼル髯がトレードマーク。
…カイゼル髯を持った作家は、チェコのイジー・トルンカ、アメリカの粘土アニメーションのパイオニア、ウィル・ビントン、ハンガリーの数学者、哲学者でアニメーション作家のチャバ・ヴァルガとか、カイゼル髯作家はグレイトだよ。